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下宿人は見た!ボケを演じ、親類縁者を欺き続けるバアちゃんの犯罪

認知症。老いれば誰でもかかる可能性のあるこの病。年老いた親の痴呆に苦悩する家族を描いたドラマ・映画をよくみかける。一番重要なことは、この病気を理解し、すべてを認めてあげること。

でも、何をやっても許されることを悪用するお年寄りがいたとしたら、どうでしょう? それが自分の祖母だとしたら…。

家の金がなくなり、無銭飲食や寸借詐欺も当たり前

一年前の春、岡山の田舎から大阪の某大学に入学した私は、大学から二駅離れた親戚の家に下宿することになりました。叔父の一家は、奥さん、ツアーコンダクターの娘と受験生の息子、祖母の5人暮らし。私も4年間をそこで過ごすのです。

祖母以外の家族は多忙で、気楽な学生生活を送る私は、授業のない昼間に祖母の面倒を見ざるを得なくなりました。1年ほど前から祖母はアルツハイマーを患っていて、ひどい物忘れが進行し、お金がなくなったと騒いだり、何度も食事をしたり、被害妄想、ひどいときにはビー玉を舐めたり、意味もなく徘徊したり、それは大変な状態でした。
家族も祖母に関しては諦めがち。悪い意味で放任しています。

[主人公]
「おばあちゃん、よろしくね」

[祖母]
「アンタ、女学校転校してどこいってたの? 土筆摘んで、よく遊んだわねぇ」

え? 嬉しそうに笑う祖母。
はじめは、憐れな祖母に同情し、誠心誠意尽くして介護していたのですが、私はどこかに違和感を感じはじめました。

それは、家に置いておいた下宿代がなくなっていたことがきっかけです。

ボケた祖母がやったのか?

[おばさん]
「さゆりちゃん、お金はねぇ、家には置かないようにね。よく誰かさんの仕業で無くなったりするから」

おばさんからのアドバイス。誰かさん?

[主人公]
「泥棒でも、多い地域なんですか? ここらへんて」

[おばさん]
「いいえ。家の中にいるかもしれないでしょ」

家の中? おばさんの意味深な言葉。

何日か経ち、おばさんの忠告を忘れ、私はお金を置いてしまったのです。案の定封筒に入っていた両親からの仕送り・5万円は、姿を消していました。
事情を話すと、おばさんから祖母に向けられる白い眼。そ知らぬ素振りで、あや取りをしながら独り言をブツブツ呟く祖母。

えっ! おばあちゃんが盗んだっていうの?
なんだか日常的に行われているような雰囲気。
ただ気になったのは、おばさんが台所に立った途端、祖母が不敵に笑ったように見えたのです。

それから私は数々の祖母の奇行を目の当たりにすることになりました。警察のパトカーをタクシー代わりに使い、度重なる無銭飲食、スナックや料理屋でいい酒を飲んでツケを家族に回したり、高級品の化粧品の万引き、「自分の物だ」と置き引き、昼に特上の鮨を20人前とってみたり。

寸借詐欺の手口も堂に入ったもの

決定打は私の通学につかう駅の前で、泣きじゃくる祖母が通行人に小銭をたかっているところを見たときです。

[祖母]
「この年寄りの足じゃ、帰れないんです。千円貸してください! ウウウゥ…」

[通行人]
「そうなのおばあちゃん。お財布なくしちゃったのぉ」

[祖母]
「ウウゥ…年金の残りが全部入ってて…」

人のいいご夫人が、財布から2千円取り出し、祖母に手渡していました。人の親切につけ込んだタチの悪さ。おぞましい光景に声をかけられない私。
本当に、祖母はボケているのか。

家族を突き落とす凶行に出た祖母

大学の図書室で痴呆症についての資料を調べると、ボケと診断する見定めは医師でも大変難しく、一定の基準を満たした状態をみて決めるというのです。
病院で診断は下っている祖母。

基礎知識さえあれば、痴呆のフリをして曖昧な診断を衝くことはできる。でも、それを何でウチのおばあちゃんが…。その晩に帰宅すると、部屋はめちゃくちゃに荒され、ひっくり返った衣装ケース。衣装ケースの裏側にセロハンテープで貼りつけた現金のはいった封筒。

まさか! ああ、やっぱり、また無くなってる…。
まさか、そこまでやるかと業を煮やした私は、祖母が私のお金を握りどこかをほっつき歩いている隙を狙い、入ってはいけないと強く拒む祖母の部屋を探りました。

押入れを開け、ひしめくダンボールの中を引っ掻き回すと、そこには…。あるわ、あるわ、痴呆症に関する書籍、文献がいくつも出てきたのです。
深まる疑惑。そんなことがあった二日後、恐ろしい出来事が起こってしまいました。

学食で友達と食事を摂っていると、西野カナの着うたが私を呼びだしました。かなり切迫した叔父さんの声。

[叔父]
「お、お母さんが階段から転げて、意識不明や! どないしよう!」

ええっ? なんで! ボケ老人、ボケ老人と祖母を毛嫌いしていたおばさんが、自宅の階段から転げ落ちて重傷を負ったというのです。おばさんの他に家にいたのは、祖母。

幸いにもおばさんは一命を取りとめ、後遺症もなく、元気に退院しましたが、当時の状況をまったく憶えていないというのです。
急でもない勾配のらせん状の登りやすいし、降りやすい階段。しかも、最上段から?

私はピンときました。以前から家族に邪魔者扱いされていた祖母の復讐ではないかと…。
祖母の痴呆症はやっぱり嘘?

でも、これ以上深入りして事実を知ってしまったとしたら、私は豹変した祖母に狙われないかと不安で仕方ありません。なにせ、祖母は自分が生き延びるために満州で人を殺したことを自慢するような強い人ですから。(完)

(C)写真AC

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プロフィール

丸野裕行

1976年京都生まれ、佛教大学中退。株式会社オトコノアジト代表取締役。ライター、作家、脚本家、イラストレーターとして雑誌や書籍に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。Amazonで著書30冊以上出版、ガジェット通信ライター、『初めての不動産投資マガジン』編集長、京都No.1配布率のタウン誌『京都夜本』でコラム執筆中。文化人タレントとして『サンデージャポン』(TBS)、『ダラケseason14』(BSスカパー)、『じっくり聞いタロウ』(テレビ東京)、『EXD44』(テレビ朝日)、『雨上がりのAさんの話』(朝日放送)などのTV出演などで活動。


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