1. HOME
  2. ブログ
  3. <丸野裕行のシネマ辛口レビュー>『XX 美しき凶器』(’93/配給:東映)

<丸野裕行のシネマ辛口レビュー>『XX 美しき凶器』(’93/配給:東映)

妖艶な女優たちが続々登場し、見事な裸体をさらけ出して危険な女を演じる『XX』シリーズの第一弾は、恐ろしいほどハードボイルドに染まった、僕の人生ベスト3にランキングされる映画だ。

それが、宮崎萬純と草刈正雄のW主演の『XX 美しき凶器』である。

ひと言で言えば、血と銃弾に染まった“大人たちのおとぎ話”と言える。

原作は大沢在昌の短編小説

この作品は、大沢在昌の短編小説『ゆきどまりの女』が原作。良質のハードボイルド映画として、非常にうまくまとまっている。

殺しを生業にする男たちをベッドに誘い、始末をする盲目の女を演じているのが、宮崎萬純。
彼女は、政財界のフィクサーの御落胤として生まれ、山深い森の別荘で孤独に暮らしている。

そこに、仕事の秘密を知った男たちが招かれ、女を抱くように指示される。相手も、この女を殺そうとしているということだ。

殺るか殺られるか、の緊張感が張り詰めた性行為。彼女は、次々と仕事をこなしていく。

草刈正雄が中年の飄々とした殺し屋を演じる

彼女の体は、アルコールなしではいられない。酒に溺れる彼女の苦悩する姿に一目惚れしてしまうのが、彼女に殺されるはずの殺し屋役を草刈正雄。
宮崎ますみの教育係を、村井国夫がつとめる。

小水一男の貫禄を感じさせる大人の演出、それをさらに盛りあげる大野雄二が奏でるジャズ…。
血腥い中で綴られる哀しい愛の話を、途中破綻してしまう形で“大人のおとぎ話”に昇華させてた監督の力量に舌を巻いてしまった。

Vシネマとして撮られたが、単館上映になる

監督が猛反対したのが、“Vシネ”という約束で製作したのに、「映画フィルムにはしたくない」という監督としての意向があった。

しかし、配給会社側と製作者側は、“東映”と“東映ビデオ”。会社の方針として、宣伝を兼ねたレイトショーとして上映に踏み切ったものだから、監督としては、Vシネのスタンダードサイズでの撮影と映画のサイズは、映像表現や効果が映画とは違うと食い下がったわけだった。

宮崎ますみの大胆な濡れ場で客寄せし、ヌードのみで話題をさらったVシネマではあるが、中身はたいへん素晴らしい。素晴らしい以外の言葉が見つからない。

採点:★★★★★

 

 

スタッフ

監督
小水一男
原作
大沢在昌
企画
松田仁
企画協力
長濱治
プロデューサー
岡田真

キャスト

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

プロフィール

丸野裕行

1976年京都生まれ、佛教大学中退。株式会社オトコノアジト代表取締役。ライター、作家、脚本家、イラストレーターとして雑誌や書籍に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。Amazonで著書30冊以上出版、ガジェット通信ライター、『初めての不動産投資マガジン』編集長、京都No.1配布率のタウン誌『京都夜本』でコラム執筆中。文化人タレントとして『サンデージャポン』(TBS)、『ダラケseason14』(BSスカパー)、『じっくり聞いタロウ』(テレビ東京)、『EXD44』(テレビ朝日)、『雨上がりのAさんの話』(朝日放送)などのTV出演などで活動。


プロフィール


人気の記事

最新の記事

Twitter